はなだ放送局

自称《映画ポエム》や、好きなこと、日々徒然なるままに過ごしている様をお届けしています。

『検察側の罪人』

『一線を、越える。』...コピー

本日、八丁座検察側の罪人を友人と観てきました。

原田眞人監督作品は初めての鑑賞で、どんな作品なのかワクワクしていました。

目当ては今回W主演の木村拓哉さんと二宮和也さんで、顔のいい男二人の対決を半分タレント目当てのようなもので観に行ったのですが内容がとても濃く、ひどく考えさせられ、今も胸にぐさりと何かが刺さっているような…。そんな映画でした。

 

文章が苦手ゆえ読みにくいものになるかと思いますがご了承くださいませ。

 

大まかなあらすじとしては、

都内で発生した老夫婦の殺人事件。犯人候補として複数の男が浮かび上がる中、事件を担当する検察官・最上(木村拓哉)と沖野(二宮和也)は組んで事件を捜査することになる。

 

複数の容疑者のうち、最上は一人の男・松倉(酒向芳)に執着し、沖野を使い松倉を犯人に仕立て上げようとする。

松倉は最上がかつて親しく接していた少女殺人事件の重要参考人だった。

もう時効を迎えている事件に固執し「復讐」の正義を追いかける最上と、そんな最上にだんだんと違和感を覚えていく沖野。

だんだんと対立していく二人が迎える決着は…。

 

という感じです。

それではここからはネタバレを踏まえた感想をば…。

 

最初に言っておきますが、私自身オツムが非常に弱いので頭を5ひねりくらいしないと分からないような映画はとても苦手です。

序盤、私にはとても難しい話題とか、セリフが多くて「あ、これはいけないかもしれない」と感じたのですが全体を通して見るととても面白い作品でした。伏線回収しきれてないというか、考察に頼る場面もあるかと思いますが…

 

まず特筆すべきはオープニングの美麗さだと思います。

写真、鏡写し、シルエットがとても素敵で、切ない音楽も相まってこの時点で少し非日常感を覚えました。

好きですなあ。

映画の序盤、沖野が研修を卒業する前に最上は師としての言葉を言い渡します(うまく覚えてなくて打てないのが残念…!)

それを心にとどめて4年後、沖野と最上は再び再会するするわけですが、沖野は最上の「部下」としてこの老夫婦事件の真相を解こうと奮闘します。

 

ここで最上が執着する松倉が登場するわけですが、なんとまあ松倉役の酒向芳さん。

本当に「アイツはモンスターです」と言った感じのキチガイ感というか、何を考えているのか分からない、道端を歩いていたら関わりたくないタイプの人間ですね。

取り調べの際、最上が執着する時効を迎えた少女殺人事件について自供する場面があるのですがまあまあまあ、その時の松倉が気持ち悪い。

見かけた少女を尾けて、自宅の窓が空いていたからと少女の部屋に上がり込んで少女の匂いを嗅ぎ回ったり、河原で歌っていたいたいけな少女を犯しながら首を締めて殺害したり。

この時の松倉、椅子の上で腰を動かしているんですよね。まあ気持ち悪すぎて、いつかのエロ同人誌で読んだあのえも言われぬ感じを思い出してぞくぞくしました。

松倉にとってはかけがえのないほど気持ちよかったんだなというのが伝わってきて、すごい演技を見てしまった…と興奮していました。

そのあとの沖野が松倉を責め立てる取り調べシーンもゾッとしました。

二宮くん、あんな声出るんだというほど叫び散らかして、狂気を感じるほど松倉を攻め立てます。

この演技は是非たくさんの人に見ていただきたい。

 

また、後半最上が復讐に執着していることを最大に見せる場面がやってきます。

そのシーンでの最上の葛藤、それまではあんなに余裕の上司という感じだった最上から余裕が消えて、目的を達成するために本当は弱い心を見せていくあの場面も本当に見て欲しい…見て欲しいです。

 

個人的には最上の行く末を楽しむように協力を申し出てくれるヤクザ・諏訪部(松重豊さん)もすごく良かったです。

「あなたがやれというなら、諏訪部はいつでもポチになります」

いやあ、いいセリフですね、これ…忠誠心が見えるというか、最上がどうなっていくのか諏訪部には分かっているような。

 

この作品、決して後味が良い作品とは言えません。

私の中ではまだモヤモヤが強く残っていて、「正義とは」と考えさせられます。

正直松倉は人道を大きく外れ、人間とは思えないほど非道なことを過去二回も繰り返している人間です。

その松倉に大切な人間を殺された最上は、「復讐の正義」のストーリーを立て、どうにか筋書き通りに松倉を処分できるよう己の正義を貫きます。

また同じく沖野も、冤罪を引き起こさないように、「真実の正義」を追い求めて憧れの師に立ち向かい、己の正義を貫こうとします。

 

最上はもう裏社会、政治界まで足を踏み込み戻れないところまできてはいると思いますが…正直、どちらの「正義」にも理解ができるなあというのが私の感想です。

「日常」だと思っていた「正義の概念」が、大きく揺らいだ作品でした。

 

皆様にも是非、正義とは、日常が非日常に変わっていくあの背筋が震える感覚を、自分の手が何色なのか考えさせられるような感覚を感じていただければと思っております!

 

私自身も久々に映画をスクリーンで見たので、もっと見たくなりました。

また近いうちに何か見に行こうかな。

 

それでは、花田たちでした。